青の6号

アニメにおける3D-CGIの革命といえばこれだろう、と、確認のために見ていたら思わず最後まで見切ってしまった。
美術監督の人が「背景美術と3Dの違和感はいい違和感が出せればと思っていたら、そのうち違和感が無くなってしまった」と自作について言っているのが面白い。少なくとも、今の私の目から見て3D-CGIと背景美術とセルに違和感があるかというとそんなことは全然無くて、セル塗りにすらなっていない、つるつるした3D-CGIが豪快にアクションしているのとセルによるアニメーションはいい感じに同居してます。一つのカットで背景美術/3D-CGI/セル塗りの絵が同居しているところは実はあんまり多くない(人混みの中で爆発しているところとか、主人公メカであるグランパスのキャノピー越しにちょびっと見える程度)けど、そういうカットでも違和感は特にないし。
まぁ、アクリル絵の具で背景美術を描いて、その上にセル塗りのキャラクターを載せるという時点で日本風のアニメーションは質感の違うものが同居するというのが当たり前なので、これに3D-CGIが増えたところでたいした違いはないのかな、とも思ってみたり。
とりあえず、今時風の「作画をまじめにやると予算がかかって仕方がないので3D-CGIをセル塗りで」という作品とはちょっと雰囲気違ういい映像でした。


ああ、それにしてもTHE THRILLの音楽は素晴らしいなぁ。次回予告のテーマとかアクションシーンとか本気で格好いい。なんで発売当時サントラチェックしてなかったかなー。
あ、そうそう。ものすごく「ダイナミックレンジ」の広い音場作りなので、きちんとしたスピーカーかヘッドホンで大音量で聴かないと台詞が聞き取れません。映画館で見る映画みたい。5.1chにすることを決めた時点でこんな音にすることにしたんだろうな。ステレオだと存分には楽しめないかも。

物語の単価

たとえばここに本が一冊あったとします。
ハードカバーで2000円くらい。300ページくらいなら読み終わるに1時間半程度。私は結構読むのが速い方ですが、1時間半の時間を2000円で買ったと考えると割高です。
映画が1500円くらいで2時間と考えるとそれよりちょっと高いかなって感じ。もっとも、本は後から読み返すこともできるので純粋な時間で考えるのはちょっとずるいかも。
テレビシリーズが全くからまないOVAだと1話約30分で5000円くらい。映画よりは割高ですね。これも繰り返し見ることを考えれば何とも言えませんが。
テレビシリーズをDVD化したものだと1時間半で5000円くらい。まぁ、単価をどう考えるかにもよりますが。OVAよりは安いかなって感じ。
で、ここでノベルゲームを考えると50時間で6000円とかいきなり時間単価が超絶やすくなります。フルボイスとはいかないまでもある程度のボイスがついていたり画像を使った演出があったりするとなんかすごいことに。
そう考えると1冊1時間で500円程度のライトノベルの時間単価ってまあまあなのかなーって気はします。実際のところ、300P位のライトノベルを書くのに一月くらいはかかるので(少なくとも私は。本腰入れれば一週間ぐらいかも)、何冊出るのかはともかくまあいいかーって感じです。
もちろん、普段は時間単価なんか考えませんが、RewriteのTerra編を気になる部分があったのでやり直していたらすごい時間がたっていたので。序盤のルイスの立ち絵とか、吸血ヒルの魔物グラフィックとか、欲しかったよなぁ、と思ったりするのでした。全体的にTerra編はリソース関係は不遇ですが。主人公にボイスがあるのが救いです。
ノベルゲームの開発期間のうち、シナリオを純粋に書いていられる期間ってどれくらいなのかなぁ、とか考えるのでした。私の感覚だと二月かけたらかけすぎな感じしますが、ゲーム全体の開発期間からするともうちょっと長くてもいいのかなぁ。別にシナリオなくてもイベントグラフィックぐらいかけるしなー(ひでー開発手段だ(^^;))。


真面目に作ったOVAシリーズや劇場用アニメ映画には企画の立ち上げから2,3年かかってやっと公開と聞きます。いや、ゲームだってそんな規模の企画にかかわったことないですが。
超分業の進んだアニメの世界でそれだけ時間がかかるってことは各工程での開始のタイミングとフィックスのタイミングを合わせていけばそれくらいなのかも、と考えられます。
消費される時間単価と、それの購買人数(この二つの積が人数時間単価になります。予算の目安ですね)が桁が違う世界をごっちゃにしているのかもなーって感じはしますけどね。だって、ゲームで30分で何千枚ものグラフィックなんか使わないもんな。
落ちはありません。

Rewriteを今からやろうと思っている人へ

もうだいぶほとぼりも冷めたし、お盆だし今ならゲーム位できると思っている人に。

  • 2ndオープニングは見ないでおくことお勧め

かなりネタバレ入ってます。本編内で入るタイミング考えるとネタバレされてもいい位置なのですが、やる前に見ちゃうとちょっと興がそがれるかも。

  • いつまでたっても終わらないゲームだと覚悟しておく方が吉

エンディングがたくさんあります。個別ルートとかそういう意味ではなく。「え? まだ続くの?」と思わず言いたくなります。

  • 実績(Memory)の解除は超大変

XBox360の「実績」やPS3の「トロフィー」にあたるものが山のようにあります。キャラクターの詳細もMemory経由じゃないとわからないものもあったりします。いきなり全部埋めようとせずになんとなくやり直すくらいの気分で。実績「Rewrite」まででとりあえず一通りだとだけ思っておきましょう。

  • 初回特典の冊子を読むタイミングは?

実績「Rewrite」の解除まで我慢しましょう。種明かしがいくつかあるので。おまけCDも同じくらいのタイミングで。
なお、ラジオ出張局は作品と全く関係しません(えー)。小鳥役の人が気合の入れすぎで鼻血出しながら演技したのはあそこだな、と、遊んだ人ならわかりますが。

  • ところで面白いの?

事前情報や様々なキャラクターの紹介とはものすごい斜め上の展開を見せるお話です。広告を鵜呑みにするとだまされます(広告などで言っている部分も、きちんと入ってます。念のため)。
リトルバスターズみたいな正統派な話を期待すると面喰います。そこはさすが田中ロミオ
期待してるものと全く同じである保証はしませんが、私は面白かったですよ。


ストーリーは歪ではないのですが、商品としてはちょっと歪というか、ストーリーラインを作っている田中ロミオが力を入れているところと、Keyが力を入れているところが違うという不思議な作品です。
田中ロミオは制限や要求をよくくみ取ったうえで、オマージュをたくさんちりばめながら完成した話に仕立て上げていますが「ここを書かずにいられない」というどうしてもの要求がKeyの人たちにはちょっと理解されてないきらいはあります。でも、十分以上のクオリティですので、安心して遊べます。
歪さが気になるのは作り手の力関係が気になるおたくぐらいで。
あ、竜騎士07のパートは浮いてます。露骨に見えるくらい。

音楽制作環境

Dellのノートパソコンがメインマシンになってこの方、E-Muの素敵サウンドカードやUSBサウンド出力なんかはもう夢のまた夢です。なので、いかにアナログを介さずに成果物を作るのかに血道を上げる羽目に。
最近のお気に入りはVST HostにProteusVXをつないで録音すること。キーボード経由で聞くとちょっとレイテンシありますが、Midi Yoke経由でDominoの演奏をリダイレクトするとだいぶいい感じに使えます。GMとははるかに異なる音色マッピングだけど、そんなのはデータの段階で気にするべきことですし、ソフトウェア制作時期のせいもあっていまどきの機械ならCPUパワーを使い切る心配もないです。
オケが必要だったら、そのトラックだけSonatina。リアルな音が欲しいのは一部のストリングスとブラスくらいですが。リバーブVSTをうまく見つけてないのが今後の課題だなー。Sonatinaは元の音の時点でホールの響き(なんだよね、あれ?)があるのであんまり気にしてませんが。
VST Hostのwav録音機能で録音してからあとはちょっとエコーを重ねたり(薄くね)、PCMの周波数や解像度を変更して量子化ノイズをなんとかして、それなりのフォーマットに出力する感じで。AndroidならoggJavaならwavかな。
効果音もこの調子で素材集から編集する感じで。ただ、SEよりもMEに傾倒する傾向があるので、あんまり素材集あてにしませんが。
ちなみにガラケー用の音楽データを作るときにはMicrosoft GS Wavetable Synthesizer大活躍です。一応専用のコンバータもあるにはあるんだけど、機種の差が大きすぎてなー。GSで大体聞こえるように作った方がそれっぽくなるというか。
放送大学研究バージョン1シリーズはProteusVXで大体作ってます。当り前だけどOpenJDK由来のソフトシンセとは音色的に雲泥の差。さて、バージョン2以降はどうしようかなぁ。作曲してもいいんだけど、時間ないんだよなぁ。素材集の音楽いまいち使いづらいんだよね。
ちなみにバージョン1シリーズの音色選びで褒められたのでちょっといい気分です。ProteusVXは使える音色そろってるよなぁ。