いつものふたり出張版(2)

「おい、Rewriteやったか……?」
「なに、その微妙な弱気っぷりは。やったよ。短かったな」
「そうか、短いのか……」
「プロテクトがきつかった?」
「いや、プロテクトはこの際ともかくとして、ゲームにならない、というか、タイトルから先に行かない」
「??」
「いや、行くんだ、一応。カーソルを合わせて、それにフォーカスされるまで数秒。ボタンを押し込んでから反応するまで数秒。リリースが検知されるまでさらに数秒。全然ゲームにならない」
「そんなに重かった?」
「で、気づいたんだけどさ。あれ、普通の画面でもRMWやってる?」
「なにそれ」
「Read-Modify-Write」
「ああ、アルファによる合成か。やってるんじゃない?」
「やっぱり。そのせいだと思う。CPUパワーかバス幅が全然足りてない」
「うーん、たぶんCPUだろうなぁ。RMWだったら、バーストリードもあんまり役に立たなさそうだし、ライトバックキャッシュもそれなりにしか聞かないだろうけど、何せ全ピクセルかけ算入ってるしなぁ」
「やっぱりか。実はちょっとそんな気もしてたんだよ。クドわふたーでもエンディングや主人公たちをバックに星がスクロールするところでものすごいコマ送りになってたんで」
「どれだけしょぼいマシン使ってるんだよ」
「んー、PentiumIII 650MHzかな」
「うわ、いつのだそれ。SSEもすごい初期のバージョンだ」
「10年くらい前……らしい。よく知らん。官給品だし。家でも作業しろと。でもなぜかディスプレイは液晶」
「今時CRTなんか手に入らないよ」
「みたいだね。どんどんCRTは経年劣化で壊れていく。それに比べてハードディスク以外のPC部品はタフだね。ところで、おもしろかった?」
「おもしろそうだったよ。体験版なので本編には入らないまま終わるけど」
「うーん、やるべきか。というか、どうすればRMWを速くできるんだろう……?」
「ちょっとまった、おまえ、エンジン書き換えるつもりか?」
「あー、えーと、その、なんだ。リバースエンジニアリングは犯罪だぞ」
「どの口が言うか、どの口が」
「あー、もうあきらめておまけCDのOne's futureでも聞くかなー」
「ペド呼ばわりされるのはあきらめたのか」
「歌ってる分にはいいだろう、きっと。なんか1時間もずっとあればかり聞いていると、すべてのことがどうでもよくなってくるよ」
「かなり洗脳が進んでるなぁ」