人類は衰退しました(3)

田中ロミオ
エーコムだの、タケフィジだの(^^;)。
ネタバレあります。


おもしろかった。
田中ロミオとしては当然ながら、科学考証をきちんと作内世界で完結させるふつうのSFです。
2巻後半のドラえもんのような科学的ホラ話ではなく、SFガジェット(見る人が見るとわざわざ元ネタが透けて見えるように作られてるのがあざとい)を中心に置いた科学技術小説になっています。
妖精さんはきっと、ラプラスの魔マックスウェルの悪魔みたいな何かなんでしょうなぁ。


しかし、これを私より先によんだスタッフ(会社においてあるのです、この本)に「2巻よりつまらなかった」と言われる理由もちょっと判るような……。
何というか、ネタの選択が文脈にたっぷり依存していて、知らない人には何がおもしろいか判らないような……。
話の根幹に当たるヴィジャーの話も2001年と映画版スタートレック1を読者はぜーんぶ知っているものとして、その上に構築しているので、これが判らないと「だから何?」と言われて当然ですし、発端となる毒電波が語りかけてきて鬱になるという流れも、それ単体を見ているとネタではなく妖精さんの体質と勘違いされちゃいそうです。
良くも悪くもおたく向け創作物はことごとく文脈依存ではあるのですが、前巻までのくすぐりとして文脈依存を使う展開よりもなんというか、お客さんの層がさらに狭くなっているような……。ちともったいないです。
お客さんが離れないといいんだけど。もっと読みたいし。