涼宮ハルヒの消失

谷川流
昔、憂鬱 の出版された当時に読んだきりだったのでたいそう久しぶり。やー、うまいわ。シリーズが進んでもクオリティに何の変化もないってのはさすが。
当時、ブギーポップ(これまたはやったんだわ)のあまりの技巧に走りっぷりに比べて、やっぱりこれくらいのストレートの方がいいよね、と感心しましたっけ。


しかし、何というか、フォロワーの生まれづらい作品です。
設定だとか、キャラ配置だとか、SFホラ話を基調にするとか、見た目は結構まねられます。というか、かなり意図的に見た目だけは良くある何かにしているのは読みとれます。
でも、ありがちな舞台装置や記号を使って、ここまでほころびのない小説に仕立て上げるのは、並大抵のことではないですよ。
どの話もそうですが(孤島の密室殺人だけ一段落ちるかも)、SF的なカタルシス(世界認識がずれて、なおかついろんな意味で思考実験のあとの自分を肯定する)や、細かな良い話が、的確なタイミングと現実感を持って書かれているのは、純粋におもしろいわけですよ、やっぱり。
当時のライトノベル事情はよく判りませんが、きっといろんな人が劣化ハルヒを量産したんだろうな、と、容易に想像できます。でも、ハルヒの魅力の大半は見かけを似せても再現できないでしょうしねぇ。
いやいや、おもしろかったです。


でも、今時の読者はこの強烈な古くささは気にならないのかなぁ。まぁ、古典SFなんざ読んでないか。なにせ、本屋で手に入らないしなぁ。


さあ! 今日はPS2版のゲームだ!
芸風から、何となく池田修一が関わっているような気が……。