マインドストーム

シーモア・パパート。
総論では反対すべきところはないのですけど、25年前に書かれたということをさっぴいても、なんというか、私にとって結論が薄い本でした。
いろいろ問題提起をした上で、「でもロゴを使えばこんなに解決」ということが手を変え品を変え書かれているだけというか……。方法論は確かにわからないでもないんですけど、あまりに単純すぎやしないかなぁ、その結論。語り口が宗教の宣教者や夜中のテレビショッピング風なのが気に食わないのかも。


それはともかく。
以下の文章を見て、やっぱりそうかと肩を落としました。

  • P40

ピアジェ式教科」とか「ピアジェ式教授方法」とかを作り出そうと考える人々がある。だが私には、そういう表現やそれによって代表される活動の内容が、明辞の矛盾であるように思われる。ピアジェは強化のない学習、故意に教えなくても自然に起こるような学習についての理論家であると思う。

あ、ピアジェさんは「構成主義」自体を提唱した人です。
うーむ、教材として構成主義を採用するのは無理があるんじゃないかな、やっぱり。
ついでに、これを読んだ瞬間に、この本自体を個人的に胡散くさく思ってしまったのは確かです(念のため、「マインドストーム」という本自体は非常に示唆的ないい本ですよ。その瞬間の個人的な心証ね)。
ええと、芸術や文化などの「ポストモダン」という思想が持っている胡散くささと同様のものを嗅ぎとったといったらいいのかな。
ともあれ、この本自体が私にとって難物であるのは確かだと思います。
実際にはもっと読み取るべきところは多そうだし……。