脱線の話 つづき

……何か、すごーくきな臭い話なのですが……。
一部ニュース(産経新聞平成17(2005)年5月6日夕刊など)によると、

(車掌の話に曰く)伊丹駅から現場カーブ手前まで続く約四・四キロの直線区間の走行について、「すごいスピードを感じた。車両ががたがたと揺れた」と異常な状況にあったと供述したが、この際も非常ブレーキを作動させることはなかった。

車掌が非常ブレーキを動作させる、防護無線の発信を行うという行為をしなかった人的ミス(と、新聞は言う)があったことはここでは考えないにしても、直線区間を「凄いスピード」で走るだけで異常に揺れたと普段から乗っているプロが感じるって言う事態が非常に気になります。
緩和曲線に入る前からそんな振動があったのであれば、それこそ事故自体が台車の影響である可能性が考えられます。ヨーダンパーが付いていない(ように見える。最近つけたっぽいという記述もあるんだけど一次ソースが不明)207系が、速度限界の範囲内で異常に動作するケースを発見してしまったのであれば、207系で使用しているボルスタレス台車(DT50系。絶大な台数を誇る205系も同じらしい)の設計上の限界が思ったよりも低かったという可能性すらも考えられます。
もちろん、汎用に使用する台車の構造解析自体はかなり念入りにやっているはずですので、ほとんどのケースにおいては問題ないと思われますが、今回、どのような理由があってそんな異常振動が起こってしまったのか、また、再発する可能性があるのであればそれはどのようなケースかに付いての調査結果をこの先の安全を確保するためにもぜひとも明らかにして欲しいです。
異常振動と事故の直接の関係を記述した発表はないのですけど。


ちなみに、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の5/6の発表によると、直接の事故原因は緩和曲線(という表現はどこにもなくて、「現場手前にある名神高速道路の高架から、時速70キロの速度制限標識があるカーブ入り口までの約70メートルの区間」)での非常ブレーキとのこと。
これ自体は予想通りですね。とほほ。緩和曲線でのブレーキングの怖さは私のような専門外の人間でも容易に見当が付くのに、よりにもよってそんな操作をするとは……。