抽象のリアリティ

今よりもずっと前。小説の月産枚数がずっと多かった頃。
夢を見ても具体的な情景は浮かばずに「それがあってもおかしくない情景描写」だけが夢の表面を流れていたような。効果音も実際の音ではなく(あんなにシンセサイザーとかで遊んでたのに!)「ほげほげの音がした」という抽象的な認識だけが垂れ流されてたような。
あの頃の私は、文章の連続によって描かれる抽象の表現にリアリティを感じてたんだろうな。
ちなみに、そんなだったにもかかわらず、当時の小説は今見るとディティール書き込みすぎな文体でした。今は、あれでもディティールを描かないようになったんですよ。当時よりは。