物理的セルオートマトン

現代のディジタルコンピュータは基本的にシャノンの情報理論と、アラン・チューリングの有限状態機械の実装(チューリングマシンと互換性がある:チューリング完全)で動いています。
が、チューリング完全を実装するためにはなにもチューリングマシンに似た実装である必要はありません。たとえば、人間の脳は逐次実行を行っていませんがチューリング完全と言えます。非常に効率は悪いですが。
ということは、ある程度の複雑さを持っていれば人間の脳と同じような方法論(ノード間の接続強度の動的学習)でチューリング完全を実現することは、論理的には不可能ではない、とかんがえられます。


さて、ここで、「セルオートマトン」という考え方を導入します。ドイツコンピュータの父、コンラート・ツーゼは宇宙全体を無限小のグリッドと見なし、その「場」を値と見なした三次元のセルオートマトンと見なすと物理法則すべてをシミュレーションできるという仮説を立てました。もちろん、この仮説はラプラスの魔が実現不可能であるのと同程度には実現不可能ですが、仮説自体には妥当性があります。
そして、この仮説の内側には「チューリング完全」も含まれるのです。
と、いうことは。
どこまでの複雑性をもってすれば「チューリング完全」になるのかというスケールはちょっと計算する必要はありますが、セルオートマトンを使って計算可能性のある計算を行う、つまり、思考をシミュレーションすることが出来ます。
セルオートマトンは基本的にはコンピュータによって実行される形にはなりますが、ツーゼのパラダイムに則ってかんがえるのであれば、自然界の物質、もしくは人工の物質の物性を使ってセルオートマトンを実現することは不可能ではありません。
たとえばAl203の単結晶であるコランダムは不純物イオン(つまり電荷)の状態によってルビー・サファイヤなどと称されますが、これを「隣のセルにあるコランダムにイオンを与える」事が何らかの形で出来れば、コランダムを使ったセルオートマトンが作れます。
そして、コランダムの単結晶を作るという技術は、錬金術の一部として「卑金属から宝石を作る」ということの副産物として生まれました。
つまり、錬金術の技術を応用すると、アラン・チューリングとは全く無関係なコンピュータが発生する可能性があるのです。


え? なんでこんなことを書いてるのかって?
それは、秘密です。