GMA500 driver for Windows7が更新されてた(http://downloadcenter.intel.com/Detail_Desc.aspx?agr=Y&DwnldID=18470&lang=jpn)

現時点の最新版は2010/3/16のバージョン:5.0.0.2023。
これでたまに起きるPowerVR特有のタイル化けと(これが凄い早いタイミングでちらちらしているのでWDDM環境上では常にFlipしてるのが判る)、謎のフリーズが無くなるといいなぁ。


あ、わかんない人のために解説。
Willcom D4,LOOX U,VAIO Pなどの「超小型、超バッテリー寿命ハンドヘルドPC」はAtom ZシリーズというCPUを採用しています。これは、「低価格ノートPC」で使われているAtom Nシリーズとは出自自体が違うCPUで、小型化や低電源のためにいろいろ細工が為されています。
とくに、Atom ZシリーズはUS15Wというコンパニオンチップと使うことを前提にしており、これの中に入っているグラフィック機能がGMA500(Graphics Media Accelarator 500)です。実際にはこれの中身は英Imagination社のPowerVR SGXという回路です。PowerVR SGXは結構いろんなところに使われていて、有名どころではiPhone3GSなんかにも使われています。
PowerVR SGXはいくつかの大きな特徴があるのですが、

  • 無駄なPixelレンダリングをしないので遅いクロック、遅いメモリでもそれなりの性能が出る
  • あんまり速くはないけどUnified Shaderがついているので今時のOSにも対応してる
  • Unified Shaderの機能を応用してムービー展張をハードウェアでこなす
  • クロックが遅く、メモリアクセスが少ないので電力を食わない

というメリットがあります。ただし、欠点もいくつかあって、

  • 普通のビデオチップとはレンダリングパイプラインの構造が違うので、同じつもりで使うとなんか変な動きをする
  • ZバッファがないのでZバッファ前提のレンダリングはできない
  • 面積が広くなると普通のビデオチップよりも遅くなる傾向が強い
  • 半透明を使うと普通のビデオチップと同じ処理をする羽目に鳴る(ってことは、クロックもメモリも遅いとそれに併せて遅くなる)

というわけで、

  • 面積が狭い
  • 半透明をあんまり使わない
  • ソフトウェアの層が厚くないと変な動きをする

という傾向があるのでそれを容認できるような場所で威力を発揮します。iPhoneがこれを使っているのはいい選択ですね。US15Wはちょっと面積広すぎるかなーって気はしますが、半透明を使っている面積もあまり広くないので、省電力のためにはいいですね。
で、WDDM(Window Display Driver Model)はかなり層が厚いソフトウェアなので、ここのドライバをチューニングするだけでも普通のチップに比べて性能は劇的に変わる(可能性がある)のでした。特にWindows 7で採用されているWDDM1.1はDirectX以外にも通常のアプリケーション(GDI:Graphics Device Interface)でグラフィックチップの機能を優先して使うようになったので、ドライバのバージョンが上がると、普段使いでもかなり差が出る可能性があるので、今回のようなドライバのアップデートはかなり期待が持てるのですよ。
なにせ、Windows VistaでGMA500を使っていると「こんなに性能悪い訳無いのにー」とカタログスペックとの乖離をかなり感じられましたので。そういう意味でもAtomZシリーズはWindows 7に積極的に乗り換えた方が幸せになれると思うのです。