Pioneer SE-30

「ぱぱー、これでお歌聞くー」
と、下の娘が部屋の片隅から40年もののヘッドフォンを発掘してきました。
せっかくなので「萌えるヘッドフォン読本」を一緒に読みながら梶浦由記相対性理論を聞きました。
しばらくして会社にいく時間になったので、ヘッドフォンとiRiver T7を持っていって一人で孤独に作業をしよう(と、思ったら、なぜか会社に全メンバーが終結していてビックリしたけど、それはそれとして。「え? 今日って祝日だったんですか?」確かに週の途中にポツンと休みがあると忘れちゃうよなぁ)と、梶浦由記の有らん限りのサントラ作品をかたっぱしから積めて聞きながら作業していたのですが、40年ものとはいえさすがに高級品らしく非常にピュアオーディオないい音がします。密閉式で、なおかつ耳朶を完全に被うタイプなので外の音もいい感じに遮断しますし、ほとんど音も漏れません。ドライバ自体は紙コーンですが、たまに取り出して聞いたりしていたのでヘタってもいないらしく音が割れたりしないのも好印象。まぁ、割れるような音量では聞いてませんが。


で、分かったのですが。
普段使ってるノイズキャンセリングイヤホンのMDR-NC300Dは、実はかなり音を細工しているみたいです。そりゃまぁ、ディジタルアンプとマイクからの入力の逆位相でノイズをキャンセルするとかやってるんだから、入力波形がそのまま出るわけないのですが、出力モードをNORMALにしても、多少なりと細工はされちゃってるみたいです。
何でそれに気づいたかというと、梶浦由記のサントラでも、露骨に安い音と豪華な音がはっきりと分かるから。ここまで違うとは思いませんでした。特に凄いのが、.hack signサウンドトラックで、きちんとオーケストラでとった曲と、小編成でとった曲と(多分追加分)、シンセストリングスでとった曲の違いが露骨に見えること。同じ番組の、同じプロデューサー(ってことは、予算規模もほぼ変わらないはず)の録音で、ここまで違うとは。オープニング「Obsession」は実は何バージョンもあって、歌入りのテクノ版、歌なしのカラオケ版、歌なしのオーケストラ版の他に、歌なしのシンセストリング版もあるのですが、このシンセストリングスが、何というか、泣けてくるほどしょっぱい音だという。
NOIR,MADLAX,エルカザドの3作品で、MADLAXだけすごーく予算が少なかったんだろうな、と言うのも聞き取れて泣けてきます。いい曲なんよ、We are oneとか。でも、作曲している人が同じで、似たような芸風で作ると、当たり前だけど予算の違いは目立つわけで。
もともと、SE-30はピュアオーディオとしてクラシックとか聞くために作られたらしき形跡があるので、ストリングスが映えるというのは、確かにありそうなんですが、でもなぁ。うーむ。割とドンシャリでごまかされてたんだなぁ(SE-30は高音も低音もあまり出ない。今時のヘッドフォンとはおお違い)。
ちなみに、無理にシンセストリングスとか使わずに作られている「Nowhere」なんかはあまり気になりませんでした。これ自体も録音はドンシャリだと思いますが、聞かせる音の部分がきちんと聞き取れるってのはいいですやね。
ただ、8時間以上作業をするのなら、SE-30は使わない方がいいみたいです。こう、耳朶の先がほんのちょっとだけプラスチックに触るので、何か痛いという。カナルだと何時間でも使えるもんなー。


しかし、親子3代に渡って使われているSE-30は非常にいいリファレンスですね。これに慣れると「いい音」ってものが何か見えてくるし。私がこれのよさに気づいたのは18歳くらいの時でしたが、うちの娘たちがこれに気づくのはいつかなぁ。


ちなみに「萌えるヘッドフォン読本」で好きなのはMDR-CD900STBOSE Around ear headphone(TRIPORTって商品名じゃなかったんだ)。ヘッドフォンとしてはピュア寄りのモニターと、あのPe'zですらも豪華に聞こえる補正ヘッドフォンという対極ですが、共通してるのは「絵がロリ」ってことでしょうか(笑)。