the ジブリ set(asin:B0019CLKEI)

DAISHI DANCE
文句言いながらでも、結局リピートして聞いています。

  • The Rose
  • Take me home,Country road
  • いつも何度でも

原曲が久石譲の作品以外は、非常に上手いです。全く持っていつものノリのThe Roseや、そもそもハウスミュージックですらないいつも何度でもに、元からスタンダードナンバーのCountry road。どれもすばらしいアレンジです。
個人的にはジブリの非久石曲のうち、つじあやのの名曲 風になるが入っていないのは残念ですが、それでも堂々たる選曲です。


とはいえ、ジブリ+宮崎といえば久石曲の強さがやはり目立つわけで、そこがどうにも辛いわけですが……。

  • 君をのせて

イントロのピアノの音の説得力のなさが泣けてきます。
ピアノっぽい(けど何か違う)音と、単調で情感のない弾き方と、ハーモニーもない単音が1分近く続くのは苦痛です。
歌も、歌い方はともかく直訳気味の歌詞(香港映画のエンディングみたい……といえばいいのでしょうか)に、これまた単調なバックトラックが悲しいです。もうちょっとやりようがあったろうに……。

  • 風の通り道

原曲のメロディや合いの手を入れていたシンセ音に微妙に似ているような、違うような音色と、テンポ遅い割に繰り返しの多い構成が違和感あります。
あと、イントロからずっと通しているピアノのアルペジオ、半拍ほど入りが早くありませんか? わざと? 弱起はハウスに向かないのかなぁ?

  • 人生のメリーゴーラウンド

4つ打ちならぬ3つ打ちハウスです。
バスドラム以外は原曲に忠実で、非常に聞き応えがあります。
でも、忠実ってことは偽物ストリングと偽物ピアノが目立つということで、だったら原曲の方がいいわけで……。

これまた、基本的には原曲に忠実です。
となりのトトロという曲はシンプルなアレンジの中に不思議なコード進行が込められている曲で、このコードを追いかけていくだけで自然に原曲チックになるんですよね。
にもかかわらず、「ハウスだから」という理由しか考えられないフィルイン外しが2カ所で行われています。
1つめは、Cメロ直前の3、3、3、4の拍。もう一つは「あなたに訪れる」の裏の3、3、2の拍。
確かにこれを入れようとすると、バスドラム4つ打ちじゃなくなるので、ハウスの文法からは外れるのかもしれませんが、おかげでひどくのっぺりとした曲の流れになってしまっています。


なんというか、原曲を壊してやろうという気概もなく(となりのトトロで風の通り道のアルペジオを持ってきたり、風の伝説のオルガンにやけに気合いが入っていたり、DAISHI DANCE自身が久石曲が大好きなのはよく判る)、かといって、アレンジに使えるテクニックの幅は薄く、原曲の癖の強さにバックトラックが明らかに負けているのは、久石譲DAISHI DANCEの音楽的素養というか、アレンジ力の違いがもう明らかです。
DAISHI DANCEはこれを機に、今の素直なトラックの作りはそのまま、和声学と音色選択の訓練を重ねて是非アレンジャーとしても一流になって欲しいです。
今でも十分魅力的なんですから、ストリングスやピアノのハーモニーがそれっぽくなるだけで、クオリティは歴然と差が出ると思いますし。


好きだからこその無理な注文でした。