没ネタお蔵出しシリーズ

90年代の後半、 Florian の興味はひたすらハイパーリンク構造による知識表現と音声認識に傾倒していました。
その頃考えていたゲームのネタを。

(ストーリー)
その少女がなぜそこに倒れていたのか、その訳を誰も知らない。
ただ、彼女を知るものは皆口をそろえる。
誰か、彼女を助けてくれ、と。


(ゲーム内容)
音声で記録された昏睡している女の子の記憶の断片を覗き見しながら、その子の倒れた理由を探るゲームです。
記憶は、今聞いたやりとりから連想される言葉を音声で入力することにより、少女の脳につながれた共鳴電位計で読みとられます。
ゲーム開始当初は彼女を知る人が直前に行った会話からのみたどる事ができるのですが、会話の途中で語られる様々な単語(この単語をいろいろ音声入力で見つけだすのがプレイヤーの行えること)に彼女の海馬が反応し、海馬の中の経路が一定の敷居値を越えると新たな記憶が呼び起こされます。
ただし、記憶は時系列には並んでおらず、単語と関連づけられた記憶は支離滅裂なものばかり。
彼女は何をみたのか、なぜ支離滅裂な事ばかりが連想されるのか。現実を一人の女の子の記憶を元に再構築する旅が始まります。


……ってなかんじのゲームをSerial Experiments lain(PS版)をやって考えました。影響丸わかり。芸風そっくり。あと、チュンソフトの街 ね。
何で没になったかというと、現実を解体したり、その途中で世界観ががらっと変わる展開とかをいろいろ夢想していたのに、どうやっても物語としてのカタルシスを組み込めなかったから。
とくに、ハイパーリンクを中心においた小説もどきなので、作者の思惑と全然無関係な方向に読者が進んじゃうと、まぁ、盛り上がらない盛り上がらない。
かといって、盛り上げるためにいろいろ策をいれると、とたんにハイパーリンクという構造が死ぬという。
なので、かなり長い間いろいろあがいた末、書くのをあきらめたという経緯があります。まぁ、中身はある意味通俗的な小説なので、一次元的に書いちゃうとつまんないしねー(自分で言うか(^^;))。
ちなみにネタとしては、

  • 女の子の知り合いの証言すべてでキャラ(声優も)が違う
  • 知り合い同士が会ったことは一度もない
  • 女の子は思ったこと、考えたことを口にしたことは一度もない
  • 女の子は、現実を本来の意味で見たことは一度もない

なんてなサプライズを定期的に起こさせて、エンディングまでに女の子に萌えころがさせたいという意図はありました。
もちろんエンディングは病室で目覚めた女の子との会話。

はじめまして。
でも、あなたのことはよく知っているわ。会いたかった。

ってなベタネタで。いやー、作れたらさぞかしおもしろかったろうなぁ。主に私が(^^;)。