博士の愛した数式(ISBN:410401303X)

小川洋子
おもしろかった!でもこれ、恋愛小説……?


それはともかく。
有理数、それも自然数を中心の話が進むのに、突然無理数が割り込んでくる博士の話に若干の奇妙さを覚えました。あ、いや、別にキャラクター設定の矛盾を突こうというおたく的な嫌らしさじゃなくて、ネタ振りとその解決の齟齬が物語から感じられるのが残念というか。
ま、その程度のことは私なんかよりもずっと数学に詳しい人の意見を採り入れて書き進めていますし、違和感自身をわかった上でのことかもしれませんが。


あと、話のキーになるオイラーの公式を見て凄く違和感を感じました。
何で、虚数単位がiなのかと(^^;)。いや、虚数単位をjと無意識のうちに考えちゃうのは、高等数学を電気回路のために教わったという至極狭い個人的な事情ですね。
電気回路の世界では、iは電流を示すものとしてあらゆる数式で予約されているのです。アナログ回路なんか触らなくなって久しいのですけど。