作れなかったゲームのアイディア
一応本業ゲーム屋なので、あんまり飯の種を表に出すのはどうよって感じなんだけど、いい加減賞味期限切れなので。
むかし、「ザ・コックピット」というゲームがありました。アーケード版の「MIDNIGHT LANDING」の方がメジャーかな? とにかく、計器と滑走路の誘導灯を頼りに着陸するゲームです。元はこれ、8bitパソコン向けのソフトでして、3D描画がろくすっぽできなかった時代のアイディア商品でした。
で、これを推し進めた作品で「GroupX」というゲームがありました。実車のトルクカーブなどのデータを突っ込んで、道路のキャッツアイだけが見える夜の道を走るというすごいゲームでした。なにせ、ポリゴン描画でフレームレートを出すのが難しい時代でしたので、X68000のスプライト機能を駆使して三次元空間を見せるという作りでした。
で、これからインスピレーションを受けて、こんなソフトを当時開発しようとしていました。
- 夜のみのゲーム。道はキャッツアイで表現(核の冬に近い現象で常に雲が厚い)
- 日本地図全体を、カーナビ用マップと等高線情報を流用して再現
- カーナビの経路探索アルゴリズムを数種類用意して、「お馬鹿なナビゲータが成長する」のを実感(ちなみにナビゲータは女性で、なにやら寝取られなドラマあり)
- エンディングのみ朝日がさしてきて、キャッツアイにうっすらと白線とアスファルトがポリゴンでかぶる(操作しないなら、フレームレートが多少落ちてもいいよね、という発想)
- タイトルは「MID-KNIGHT CRUISER」と、なんというかアルシスソフトまんせーな感じ(^^;)
描画性能が上がり、そのうえTEST DRIVE Unlimitedみたいな作品が実際に出てしまった今となっては、もう作ることはないだろうと思いますが、これを作るためにこつこつと技術をためていたのもよい思い出です。
たとえば……
- 動的LODで遥か遠くまで道が続く
- ヘクス状(スクウェアよりも、一度に読まなくてはならない数が少ない)に区切られたマップの動的ロード
- リアルタイム・マルチタスクOSによるブロックしないディスクアクセス
- テクスチャーマップドポリゴン(昔は大変だったの!)
- ナビ研フォーマットの解析
- 経路探索とノードの厚み付け
役に立ったものあり、一瞬で時代に追い抜かれたものあり(^^;)。結局ゲームという形では出ませんでしたけど。
まぁ、10年以上昔のアイディアを後生大事に抱えてるものでもないですね。