ナ・バ・テアつづき

読了。
最後まで、「クサナギ」さんがだれだか判りませんでした。あー、言われてみれば、いたなぁ、前作に(って、ヒロインだってば(^^;))。読み返さないとだめだな>スカイ・クロラ
作者の人が現役の理系科学者なので、ぽろっとでてくる工学的視点が非常に共感できておもしろかったり。「少なくとも戦闘機においては」というすごく限定的な状況においては先尾翼+プッシャ型の航空機の方が効率的という考え方とか(これ、実際の航空機技術史よりも「FR、MRのちっちゃい車マンセー」ってメタファなのかも(^^;))、生物機械(サイバネティクス)の立場に立ったレオナルド・ダ・ヴィンチの引用とか。
あと、さすがに文章が素敵。昨日の小川一水さんなら、互角ないしは勝てそうと思えるけど、森さんの文章には逆立ちしても勝てなさそう。アクションシーンもさることながら(何度読み返しても左足の先に伝わるラダーの踏ん張りとか、前上方にほうり出されてベルトが食い込む感覚とかがすごく生々しい。もちろん Florian は航空機の操縦なんかしたことないのに、まるで「記憶から手繰り寄せる」ような感触が)、感情の切り取りがうまいですね。
こういう文章は逆立ちしても書けないなぁ。
あと、タイトル最高。子音が省略されたり、次の語の母音とくっついたりという演出から、カタカナで英語なんだろうな、と漠然と思っていたけど、「None but air」と読み返すといろんな意味が付加されておもしろいです。そうか「空しか無い」のか。当然だよな、うん。