タブレット/タッチパネルのUI

初めてタブレットというものを触ったのは、SHARPワープロ「書院」だったと覚えています。いや、それ以前にライトペンで触るインターフェースってのを、どこかのショーで見たことはあったかな?どちらにしても、GUIと言うにはちょっと表現力の薄いボタンをペンで触るというくらいのインターフェースで、ペンは絵を書いたり、文字認識に使ったりという以上の目的には使っちゃいけないんだな、と思っていたような気がします。


次に意識して触ったのはPC-486PT1というEPSONの特殊用途向けNEC PC-9801互換機でした。超軽量・超小型のボディに、外付けのキーボードというVAIO type Uによく似たマシンでした。当時はわざわざ特殊用途向けマシンが欲しかったのではなく、PC-9801互換のノートパソコンならなんでもよかったのですが、特殊用途向けらしく企業がリプレースのために大量に放出したものを安く手にいれたものだったのでした。
これは、電磁誘導式のタブレットで、ペン上のボタンを押しながらタッチすると右クリックになるというものでした。当時の Florian はポインティングデバイスはゲームをやる時ぐらいしか使わなかったので、ゲームのインターフェースとして便利に活用していたのを覚えています。


次に使ったのはBrainPAD TiPOでした。これは、結局 Florian が買ったものではなく、一時期借りて使っていただけだったのですが、ペンひとつで(文字入力以外は)何でもこなすという大変画期的なインターフェースだったのを覚えています。マニュアルを読みながらタップ(クリックじゃなくて、「タップ」なんですね)、ダブルタップ、タップドラッグ、ドラッグ等の操作をしながら大変感心して使っていました。借り物でしたし、とんでもない文章量を書きなぐる私には文字入力がネックで実用にはなりませんでしたけど、「これで文章を書きなぐれたら最高」と当時しみじみ思っていた記憶があります。
画面中央にやたらと出てくる「湯飲み」が大変うっとうしく見えたのですが、これは、本来「マウスカーソル」として常に画面上に出ているはずのものであり、マウスカーソルの出しようがないTiPOでは、苦肉の策で画面中央に出しているということも分かりました。この時初めて、マウスカーソル自体もなんらかのインフォメーションをもっているのだということに気づき(それ以前に「同級生」も「YU-NO」もやっていたのに!)、タッチパネルのインターフェースは直観的ではあっても制限も多少あるのだという事に初めて気づきました。


PDAもいろいろ使っていました。でも、結局気にしていたのはタッチパネルの方ではなく文字入力機器であるキーボードばかり。だからPSION revoやMI-ZaurusLinux ZaurusSigmarionなどを渡り歩いてきています。PDAタブレット/タッチパネルを使いやすいと思ったことはなく、タブレット/タッチパネルは、「キー/マウスというインターフェースを付けられない苦肉の策」にしか見えていませんでした。


でも、タッチパネル自体は夢があるインターフェースだと思っています。オブジェクト指向UIにおいては、「画面の内側を直接触っている」気にさせるデバイスは大変有用でしょうし、操作主体と、表示系がわざわざ離れているマウスやトラックボールなどは、そのメタファーの現実感を受け入れるまでは決して直観的とはいいがたいと思っています。今でこそマウスはコンピュータを使う人の間ではアプリオリな物として見ているとは思いますが、見た物を触れないという現実を受け入れるまでには本当はなんらかのパラダイムシフトがいるはずです。
タッチパネルというデバイスは、今はかなり多用されていると思います。銀行のATMや切符の自動販売機、コンビニのキオスク端末、博物館の案内。そのどれもが「動的にボタンが変化する便利なボタン盤」としてしか使っていないとは思いますが、もっとタッチパネルの特質をうまく使ったインターフェースを提示できれば、今よりももっと人とコンピュータの境界面(Inter-Face)が密な接合になるんじゃないかなぁ、という予感がしています。
・・いや、だから自分で作らなくちゃその未来は来ないんだってば。頑張ります(;_;)。