矩形波サウンド

先日、あんなこと(id:Florian:20040429#p2)を書いてしまったので気になっていろいろ聞き比べてみました。

聞く前に前提条件を確認します。今回の命題はこれです。

  • かつて録音技術が稚拙だったころはうまく高周波をいなせなかったため、ほかの周波数も犠牲になった
  • 現代は、高周波をいなす技術があるから、ほかの周波数が犠牲になることはない
  • CDのDACはオーバーサンプリングを行わず、22kHz以上の高周波が出た方が原音再生に近くなる
  • 上記2点より、現代に録音されたCDはオーバーサンプリングを行わないDACの方が原音再生に近くなる

音源はMP3 128kbpsですが、とりあえずCool2000上のスペクトラムアナライザーでは一応高周波もそこそこ出ていることになっている事になっています。
まずは、1980年代に録音された「GMO TAITO1」。スペースインベーダーのアナログ音源から、SSG、FM音源、MSM5232の矩形波倍音シンセサイザーまでバラエティ豊かな音源を取り揃えた名盤です。
そして、2003年に録音された「SEGA Arcade 80's 1」。これまたアナログ音源(って、この基盤、ホントに発売されたの?)、SSG、FM音源とバラエティ豊かな音源です。

オーバーサンプリングを行わないDACといってとっさに用意できるのはやっぱりPCのおまけDACでしょう。最終段に入っているアンプの歪み率が微妙によくないため、原音再生にはちょっと遠いのですが、いいDACをつんだプレイヤーを使う訳にも行かないし。
本当ならば、オーバーサンプリングした性能の良いDACを使って聞き比べるのがさらに良いのですが、そんな高級機器は持ってないので(^^;)今回はあきらめ。

と、いうわけで、以下を聞き比べてみることにしました。

まず、「GMO TAITO1」を。明らかにアナログマスタリングで、高周波が多く出ているところは音が歪んでいます。まぁ、レコード全盛の時代のマスタリングなんだから、当然と言えば当然です。ちなみに Florian はこのCD、レコードでも持ってます。CDは復刻版の方ですが。
それに対して「SEGA ARCADE 80's」はどうかというと、恐らくデジタルでマスタリングされており、確かに音は大変クリアです。
じゃあ、本題の22kHz以上が出ているかというと、よくわかんないです(^^;)。いや、再生にTimedomain miniというあんまり高周波得意じゃないフルレンジのスピーカーを使っているせいもあるんですけど、元からあんまり Florian の聞こえはよくないし。
でも。
SSGに限って言うと、「SEGA Arcade 80's」は明らかにSSGのはるか高周波まで奇数倍音がつながっているのが判りますし、SSGノイズジェネレータのよる片寄りのある腰の無いドラムが細工されずに出ていることが判ります。分周比の関係でいまいち音痴な高音もよく判ります。
AY系の多少なりと低音が出るSSG(TAITO)と、SN系の本気で出ない低音(SEGA)という性格の違いはあるにせよ、高周波でのエイリアシングの影響の回避や、レコードでの録音に適した周波数域まで下げざるを得ない昔のレコーディングに比べ、元からオーバーサンプリングでレコーディングした現代のCDの方が、正しく音源の波形を伝えていることは確かですね。もとからデジタルですから、高周波域の量子化ノイズが「もとからある」前提で作られている音源ですし。

と、楽しく聞いていたのですが。
低音が全然でない、耳を叩く整数倍音と、音量変化のダイナミックレンジが大変低いエンベロープと、再生周波数が今一つ一定しない音程と、CPUパワーを使い切ってテンポのモタる演奏を長いこと聞いていると、やっぱり結構ストレスだったらしく、そのうち頭が痛くなってきました(^^;)。

今日の教訓。

  • 生録音のSSG音源はオーバーサンプリングなしのDACによく合う
  • 生SSGの音は、健康のために聞き過ぎに注意しましょう