オーディオマニアの業

上記の「鋼の錬金術師」と、それとは別口でとある方に作曲していただいた音楽をきちんと聴くために珍しく書斎のPCをオーディオアンプに接続し直して再生を。


Florian 宅の書斎のPCは、そこそこ音周りには気を配っていて、歴代のPCのほとんどがEnsoniq(E-MU)のチップを使っています。今はSoundBlaster Audigy Plutinumかな? やっぱり、Ensoniqのチップって、こう、ひと味違った音が鳴りますし。さすがに今はSPIFではなく、普通にアナログで接続していますが。
にもかかわらず、普段の再生環境はSONYの肩掛けスピーカーSRS-GS70を使っています。これは、アンプを内蔵しているアクティブスピーカーの一種なのですが、首の後ろを経由して肩にかけ、耳に向かって下から上方向に音を出すタイプのスピーカーです。
スピーカーのバックエンド部分が肩に直接接するので、何となくボディソニック風味に使うことも出来るし、わざわざ触れないように角度をつけることによって、小音量でも耳元で鳴っているのできちんと聞こえるようになったりします。
何よりも、直接耳に接する部分が無くて、耳に対する遮蔽も行わないので、音がきちんと聞こえる割には外界の音も入ってくるためとっさの事にも対応できるというメリットもあります。
もちろん、イヤホンに比べると経の大きめなフルレンジのスピーカーなので、あんまり再現性って意味では良くないです。アンプも残念ながら歪みやホワイトノイズが多いですし。
でも、「大きな音は出せない」「音が鳴っていても、外界の音に気を配らなくてはならない」「でも、鳴っている音は最低限聞き取れるようにしたい」という運用に対する利便性を考えるとヘッドホンやきちんとしたアンプ・スピーカーを使うわけにもいかないですし、仕方ない選択肢としてここ5年近くずっと使い続けています。
あ、もちろんきちんとした(か、どうかはちょっと微妙ですが(^^;))アナログアンプとスピーカーも使える形にしています。アンプとしては、ONKYOのA812XGという50W+50W(だったよな?)のものを。スピーカーはPIONEERの2Wayの木製エンクロージャの密閉式のものを。
アンプは今から10年以上前のものですし、スピーカーにいたっては Florian 自身よりも年上というおじいちゃんですが(^^;)、少なくとも経年変化でどうにかなるというレベルはとうの昔に落ち着いちゃっているので、そこそこな音が鳴る、と思います。


もとい。そこそこな音が鳴ると思って*いました*。
なにせ、ここのところずっとオフィスでTimedomain miniを使って聞くか、そうじゃなければ出先でMDR-EX51で聞くかのどちらかでしたので、肩掛けスピーカーも、木製スピーカーも全然使っていなかったのです。
鋼の錬金術師」も、もう一つの方もオーケストラが中心の、ダイナミックレンジが大変大きい曲です。音域でいうと高音域から低音域までまんべんなく使っていて、どこかをブーストかけると一発でばれるというシビアな音源です。
まずはじめ、肩掛けスピーカーでしばらく聞いていました。特に「鋼の錬金術師」なんかはよくテレビで聞くやたらとドラマチックな曲ですので、耳にだいぶ残っていたのですが、せっかくのCD音源なのに今ひとつありがたみがない音がします。
これは、再生機器が良くないと踏んでアナログアンプに接続し直し、そこそこな大音量で再生を。
……やっぱり今ひとつ集中できません。具体的には何がまずいのかというと、肩掛けスピーカーもアナログアンプ+スピーカーも「そこにスピーカーがある」ということをいやでも意識させられるのです。肩掛けスピーカーはさておき、音が「スピーカーから鳴っている」ということが真正面で正座して聞いても、やっぱり意識させられるのです。曲自体ではなくて、音の鳴り具合が気になると、当然ですが、音楽を音楽として聞くことが出来なくなります。

仕方ないので、PCにMDR-EX51を直接つないで再生することに。当然ですが、いつもと同じ(正確には、ノートPCよりはずっといい音で)聞こえます。でも、MDR-EX51と延長ケーブルではPC裏面のオーディオジャックから Florian の首まで届きません。
さらに仕方ないので、CD-RにWAV経由で焼いて、PanasonicのCDプレイヤー(SL-CT570)で聞くことに。
素晴らしいです。うん。大島ミチルさんも、もう一つの方も。ずっと聞いていたいって感じ。


微妙に考察すると、やはり、こんな大騒動になった一番の原因は「慣れ」でしょうね。
Timedomain miniやMDR-EX51みたいな再現性の高いものをずっと使い続けてきたせいで、再現性がそこまで高くないもので聴くと、耳が「こんな音であるはずがない」と訴えるのです。普段は再現性の高さをいちいちありがたがったりしないくせに。
高級なオーディオシステムを組んでいる人たちは、やっぱり同じように「素晴らしい音」というものに慣れてしまったがために湯水のごとくお金をつぎ込んで、そのレベルを維持しようと、それ以上の感覚にしようといろいろ苦心しているのでしょう。
そう思うと、「素晴らしい音」ってのを聴いてしまったら、もう戻れないんだなぁ、と。

うー、書斎で仕事すること、あんまり多くないけど、書斎用にTimedomain miniをもう一つ買うしかないのかなぁ。