ソフトウェア工学と工数

工学と工業の違いというのがあって、おおよそ「ほげほげ工学」とついたときには発明などは含まれずに誰がやっても同じような結果になるように様々な細工がなされます。勿論、ソフトウェアも工学として語れるので誰がやっても同じような結果になるように細工することはできます。

が、工学と発明は天と地ほども違って、発明によって工学の前提を簡単に覆しちゃうことができます。見た目1/10の工数で作業を終わらせる天才がいたとして、それが工学的方法論によるものか、絶え間ない発明によるものかはわかりません。

なので人は騙されます。

工学的方法論によって、1/10の工数になったのだと。だから、必ずそれが実現できると。

私は昔、発明の天才でした。や、どっちかというと、天賦の才で発明してたのではなく、無駄に溜め込んだ通常より何倍もの知識から適切な発明を思い付くのが得意だったといえます。

で、その立場から申しますが。

常に工数1/10の発明をし続けるのはさすがに無理です。

私以外の人間でも多分無理でしょう。私は自分が多少特殊だった自覚はありますが、私以上の人間はたくさんいます。その上で、多分無理。

魔法で工数が劇的にちじむことを当てにしたプロジェクトはあんまりいいこと無いです。

確かに、劇的にちじんでしまって「だったら次からはもっと少なくていいじゃん」と誤解されることはたくさんありますが、それは、たまたまです。

ソフトウェア工学は残念ながら工学のなかでもかなりあやふやな方です。でも、だからと言って、常に無視できるものではないのです。