模造品と工数

チップチューンが好きです。でも、今チップチューンを要求する所って凄く少ない感じ。無理に音源を駆動するくらいならOggなりADXなりで素直にストリーミングで流した方がまだ楽できるっていうか、音質もずっといいっていうか。
オーケストラをアレンジの曲を、安い人件費でプレイヤーかき集めて無理矢理ホールで撮るのとDAWでいいサンプル使うのではDAWの方が聞こえ映えがするだろうし(あ、ライブは別ね。あれはみんなで聞くから演奏する側も楽しい)。
平沢進冨田勲なんかを昔から聞いていると「わざわざシンセサイザーの音にしてる。何かに似せてない」というのがすっかり馴染んじゃって模造品である必要を感じなかったりして。
そりゃ、アクトレイザーファイナルファンタジー4タクティクスオウガを初めて聞いたときの感激ってのはありましたが、シャイニングフォース外伝に比べると落ちるかなー、とか(SSG3音でオーケストラって、しみじみ考えると凄い。音色じゃなくてアレンジでオーケストラだと判らせてるという)。


工数を考えて作るのなら適度な模造品を楽して流すのがいいんだろうなーとか考えるとちょっと寂しいです。超絶技巧なMMLテクニックで(既にこの時点で時代遅れ)、内蔵音源を無理矢理駆動する理由なんか無いもんな。インタラクティビティって意味ではADXなんかはかなり早期から内蔵音源にできるインタラクティビティはストリーミングでもできるように沢山細工してたし。
マシン語じゃないとゲームじゃないとか、C言語を後生大事に使い続けている人とか(私からすると信じられない。他に選択肢いくらでもあるだろうに)、そんなレベルなんだろうな。ゲーム作るとき、作曲家の人に「GMじゃない内蔵音源のオペレートで音色も自前」というと凄くいやな顔されますが(^^;)。せめてGMだよなぁ。


プリレンダのムービーじゃないとムービー制作者にいやがられるなんてのもあったな。
何でも、「作ってない背景がばれる」らしく(ゲーム内では見えない背景は作り込まない。屋根の裏側とか)、演出効果のためにカメラワークをいじると再現できなくてはまるとか。初代「龍が如く」なんかよくやってたよなぁ。可能な限りリアルタイム側で。どうしてもできないところ(何十人ものキャラクターが一斉に頭を下げる、とか)以外はシームレスだったし。
まぁ、「龍が如く」でいきなり実写になることはないから、いくらやっても模造品なのは変わらないか。


オートチューンで音程を合わせたヴォーカルと、音声合成シンセサイザー(ヴォーカロイドとか)の差って区別つきづらいし、これから先ますます区別はつきづらくなる方向に進むのは確実。ヴォーカロイドとぼかりすみたいな合わせ技とか、ローランドの肉声に特定のフォルマントを付加するとか(個人的にはこっちの方が楽しげ。一人ギャルゲーができますよ!)、口パクの裏側で実際に歌っているヴォーカルが機械でも何らこまらないというか。
かつてドンカマが普及してドラマーの需要が減ったとかいう話も聞きますが、ま、工数とそれに見合う効果だよね。


と、この間の坂本英城さんのロシアコンサートを聴きながらぼんやり考えたのでした。原曲の素晴らしさもあるけど、あれを生オーケストラでやった意味ってどの辺りにあったのかな、とか。とてもいいコンサートだったのですが。最後の歌かなぁ(^^;)。