ときめきメモリアル-Forever with you-と清川さん。

初代「ときメモ」に清川さんという体育会系少女が登場します。
凄い体育会系です。肉体能力半端無いです。なので、女子に凄く人気あります。周りからも期待されています。期待されているので髪型もショートカットです。髪が長いと運動しづらいので。
この人と一緒に過ごすためには、主人公の体力周りのパラメータをとても上げる必要があります。あちこちのイベントで体力周りのパラメータが閾値を下回っているとイベント起きません。なので、必死に体力馬鹿になる必要があります。
ある日、海にデートに行った主人公と清川さんは、何を思ったのか遠くの島まで遠泳することになります(もう、この時点でおかしい)。体力パラメータを育てている主人公は清川さんと一緒に島まで泳いでいきます。が、そこで突然の通り雨。清川さんは普段の気丈な姿とは打って変わって雷を怖がります。もう、小さい子供のように。
ある日、清川さんの誕生日を知った主人公は清川さんに誕生日のプレゼントを贈ることになります。体力的なもの、メリケンサック(これはこれでどうよ)、恋愛小説。
恋愛小説を送ると清川さん、凄く喜びます。


ここまででちょっと気づきます。
清川さん、たまたま肉体能力が凄かったのでずっとスポーツ万能として周りに期待されてきたのだろうと。期待に応えるべくいろんなスポーツをやって、女の子にあこがれられるままにボーイッシュな服装をして、でも、本人はただの女の子だったのだと。おしゃれにも興味がある(似合わないと思っているのは、当人だけ。だから、当人はおしゃれを否定する)、普通の女の子。なのに、そういうそぶりは見せない。普段も素っ気なく、ボーイッシュに過ごしている。
その上でエンディングを向かえます。エンディング後、それまでにあったデートやイベントなどの記念写真を見ることができます。みる前に一言清川さんは喋ります。
「恥ずかしいな。あの頃、私女の子っぽくなかったし」
……そうか! そうなのか! 今(って、いつかはともかく)からみると、当時の清川さんは自分の思っていたものではなく、周りからのイメージによって作られたものだったのか。だから、その期待に応えるべく普段から過ごしてきたのが、例えば恋によって自分というものと向き合うきっかけになったのか。
……と、エピソードの連鎖(順番はともかく)で、キャラクター自体のゲシュタルト、キャラクターの作ったストーリーのゲシュタルトが一気に流れてきてゲームとしてストーリーを語るということが何を意味しているのかがやっと判りました。一方的に順番が決められているものではなく、特定の順番で何かがわかるものではなく、「たまたまその順番になった」ということから、ストーリーがプレイヤーの中でできあがっていったのだと。ゲームプレイ自体がストーリーであって、スタティックなストーリーがその中に入っていた訳ではないということ。
そのとき、私はこのゲームの狙っていたところを知って酷く感心しました。たまたま清川さんだっただけで、別にこれにこだわってない。ゲームって、ストーリーであってもいいし、ストーリーはゲームであってもいいけど、ストーリー=ゲームじゃないよね、と。
今でも、ゲームを遊ぶときにストーリーについて考えます。