お子様の情操教育に「ソニックと秘密のリング」

個人的にはソニックのシリーズの最高傑作はWiiの最初の「ソニックと秘密のリング」だと思っています。が、それはさておきこれがいかにお子様の情操教育に素晴らしいかをとくと説明いたしましょう。


ゲームがなぜ楽しいのか、という話を言い始めると切りがないのですが、その根本が「インタラクティブ性」にあることは疑いようがありません。操作をすると、それに対する反応が返ってくる。その上、うまい反応をするといい答えが返ってくる、ということを繰り返していくことによって人はゲームにはまり込んでいくものと考えられます。
となると、ゲームとして最低限欲しいのは、ユーザーの入力対する応答です。
しかし、これがなかなか両刃の剣でして、「ユーザーの入力」を優先するとゲームとして敷居が上がり、かといってこれを優先しないとゲームではなくなるという。なので、ことテクニックなどのない子供にゲームをやらせる場合「ユーザーの入力には反応するけどあんまりルール的な縛りがない」ようなゲームでないと対応できません。
そこで! 今回おすすめするのが「ソニックと秘密のリング」です。ハードウェアはWii。ゲーム自体はWiiリモコンで遊べます。なんと、普通に遊ぶ分にはリモコンの傾きと(2)ボタンしか使いません。十字キーすらいらないという。
まず、ゲームを買ってきたら、お子さんを膝の上に置いてリモコンを横に握らせましょう。素敵な漫画風ムービーでキャラクターに感情移入した辺りで、おもむろにチュートリアルを飛ばして(重要)、ステージ1である「サンドオアシス」の最初のミッション「ゴー・フォー・ザ・ゴール」を始めましょう。あとは画面に合わせて何となく体を傾けるだけでだいたいクリアできます。ゲームとして操作が必要なのは2カ所くらい。そこだけは大人が何となくカバーしてあげましょう。すると、不思議なことに「何となく体を傾ける」だけで、画面上のソニックはほぼ意志通りに動きます。そのうえ、重要なこととしては全くゲームオーバーになりません。というか、そもそも、このゲーム、「ゲームオーバー」ないんです。もちろん、体力とか、残機とかむずかしいルールもありません。何となく失敗すると、何となく直前に戻されます。ペナルティはほぼありません。
怒濤のグラフィックが自分の操作によって垂れ流される感触に興奮したら、何度でも遊んでみましょう。そのたびにあちこちに発見があります。さらにもし操作に飽きてきたら、他のステージをやってみましょう。ほんのちょっとの操作でクリアできたりできなかったりするというゲームならではの感触に酔いしれます。1ステージは早ければ数十秒、長いステージでも1分程度です。ロード時間が短い上にほぼペナルティがないので、好きにつまみ食いできます。あちこちつまみ食いしているうちにいつの間にか次のステージのアンロックが解けています。
となるとしめたものです。
その頃には大人の手なんか借りなくてもゲームが遊べるようになっています。何せ操作はむちゃくちゃ単純ですのですぐに覚えますし、ルールも単純です(たまに、「リングを1枚もとらずにゴールへ」とかむずかしいステージもありますが、そこは大人が教えてあげましょう)。自分の手でゲームが進む、その上、進むとどんどんできることが増えていきます。操作的にも増えていきますし、ルール的にも増えていきます。プレイヤーの操作がうまくならないとできることは増えませんし、できることが増えても、「わざわざ使おう」としない限り表に出ません。それどころか、その操作ですらなくてもクリアできちゃいます(ただし、とても難しいです)。
そして何より凄いことに、このゲーム、ゲーム自体のルールやレベルデザインがモチベーションの原動力になっていて、ストーリーはそのための「ガイド」にしかすぎないのです。なので、とりあえずのエンディングに仮にたどり着いちゃっても、ゲームの中から「別にやめる必要全然ないんだからね」とわざわざ語りかけてきます。


ゲームは、インタラクティブ性を楽しむメディアです。インタラクティブ性自体を楽しまないゲームもありますが、こと「ソニックと秘密のリング」に限って言うとインタラクティブ性以外に楽しむべき部分はほとんどありません。なので、これを遊んでいる限り、ゲームの楽しさの本質にいやでも触れることができます。
インタラクティブ性という観点においては任天堂製のゲームは素晴らしいです。ですが、お子さんがもし任天堂製のゲームをちょっとでも楽しいと思ってしまったのであれば、ぜひ「ソニックと秘密のリング」をやってみて下さい。
そこには、任天堂製のゲームとは違った意味での感激が詰まっていますので。これの楽しさに気づいてしまったら、もうゲームから卒業することなんかできないと思います。
魔導冥府へようこそ(そこかー!)。