いつものふたり
「あのさー」
「今度は何?」
「ひとっ走り大阪行ってきてくんない?(http://blog.livedoor.jp/sohsai/archives/51708331.html)」
「いかない。だいたい、インフラ作りに行ってるんだからそんな物見飽きてるだろう」
「インフラったって、工場とかじゃないもん。農協とかにメタルを引っ張ったりしてるだけ。巨大建造物なんかどこにもないよ」
「でも、高速道路見に大阪まではなー」
「じゃあさ、近所の電気屋で『クドわふたー』買ってきて」
「Amazonで頼んだ方が速いよ、きっと」
「なんか、売ってないんだよ。国コード見られてるのかなー?」
「……あ、わかった。まだ発売されてないんだ」
「5月って話じゃなかったっけ?」
「いや、6月下旬に延びてる。まだ出てないから引っかからないだけじゃない?」
「じゃ、出たら送って」
「いいけど……未成年ポルノうるさい国じゃなかったっけ?」
「いや、遊ぶのはオレじゃないから」
「ん?」
「たまたまShareで流れてた『Kannon』をやった教え子がどうしてもというので」
「これこれ、犯罪を助長してどうする」
「まあ、いいんじゃないの。もう10年以上も前の作品だし」
「いや、そういう問題じゃないだろ。だいたいその子いくつよ」
「24歳。大学院生がインターンで助手としてついてきてるの」
「ま、いいか。判ったよ。EMSで送る。日本語の通るWindows持ってるんだよな?」
「うん、ばっちり。OS自体が正規品かどうかは知らないけど」
「UbuntuでWineでも進めてやりなよ。きっと動くよ」
「一応伝えとく」
「しかし、あれを見て欲情するのはかなり文化的側面でかかろうに。純粋なポルノじゃないんだぜ」
「欲情? なんで?」
「だって、エロゲーだろ?」
「そうなの?」
「原作は……エロゲーじゃないな。いや、同じタイトルのエロゲーもあるのか? よくわからん」
「うーん。ま、大丈夫だろう。一応大人の女性だし」
「そのインターンって、女の子か!」
「国立大学とはいえ、この国では理系の博士課程まで行く女性は珍しいよ。何せキャンパスに女子トイレがほとんど無いんだから」
「そんなエリートが、よりにもよって日本のエロゲーほしがるかね……」
「やー、なんかこう、琴線に触れるものがあるんだろう」
「ま、話の種にはなるわな」
「そうそう。その子は日本語うまいよ」
「あー、まさかと思うが……」
「もちろんゲームとアニメで覚えた。発音がどことなく声優チック」
「うーん、異文化交流」
「で、『そんなこと言う人嫌いです』ってこの間いわれた。ネタが判るまでちょっとかかった」
「だってなー、kannonなんか、研究室にいる頃にやったのが最後だしなー。流行ってたよな、当時。確かボイスはなかった気がするけど」
「なんでも、PS2とPSPで声優が違うのが聞き所なんだそうな。『今のはPS2版です』と付け加えられた」
「PS2もエミュレーションで動くのか。結構いいPC使ってるなー」
「アニメはまたちょっとニュアンス違うそうな」
「マニアックだ」
「その子自身はどうせ日本に行くことはなさそうだし、日本の法に多少触れても大丈夫だろう」
「ベルヌ条約ってそういうもんだっけ?」
「さあ?」