RNA計算機とSqueak eToys

昔、RNA記憶媒体として使うというアイディアを初めて聞いたとき、こんなネタを考えました。

  • RNA同士の遺伝子交換は、論理式の演算子と見なすことができる
  • RNA自体が、記憶装置として振る舞う
  • RNAはが演算をするタイミング(確率)は、RNAの入っている槽の流速とRNAの濃度に依存する

これらから、

  • 情報を持つRNAを洗濯機みたいな攪拌槽に入れる
  • RNA同士が勝手に反応
  • 一定時間後に、クロマトグラフィーなどでRNAの組成とその分布を調べる

ということで計算を行うことができるのでは?なんてな事を考えました。
これ、確実な一つの答えを求めるには向いていません。でも、全体としての傾向や、何かのトリガーによって引き起こされるカオティックな振る舞いなどをうまーくサンプリングできる計算機になるんじゃないかな、と考えました。
当時はカオスと思考の兼ね合いについてペンローズの「王様の新しい心」などのオカルト(おいおい)とかを読んでは夢想していたので、結局このアイディアもSF小説の1ガジェットに成り下がったのですが(^^;)、この計算方法に基づいたバイオコンピュータ、今は実在するんですってね。
いやいや、似たようなことを考える人もいるもんです。


当たり前ですが、こうして動いているコンピュータのアルゴリズムは現在のフォン・ノイマン型コンピュータのアルゴリズムとは似ても似つかないものになると思います。
確かにそこにはシャノンの情報理論も、ド・モルガンの法則も同様になり立つはずです。でも、たとえばクイックソートのようなものはこのコンピュータでは直接実行するのは難しいです。
わたしにとってeToysのスクリプトは、ちょうどこのRNAコンピュータのプログラムを組んでいるかのような不思議な感触があります。個体のルールは単純であっても、総体としてみると何か傾向のようなものが発生し、結果として何かの解を求めるという状況が作れるんじゃないかと。
もっとも、わたしはあまりeToysが得意なわけではないので、思わず無理矢理アルゴリズムを書こうとしてハマることの方が多いのですけど。


おちはありません。