OLPC XO B1

なにせ、まだまだ試作版(B1=ベータ1?)ですので、今後ものすごくリファインされるとは思いますが。

  • 筐体

さすがにまだ噛み合わせの精度や剛性感はまだまだたりませんが、いろんな意味でよくできています。
まず、手持ち用ハンドルとディスプレイの位置関係が面白いです。通常使用時(キーボードを使うとき)にはディスプレイの奥にハンドルが来るのですが、タブレットとして使用時(後述しますがタブレットと言っていいのやら(^^;))には「ハンドルが手前」に来るように持つのです。
実物を見ないと今一つぴんと来ないかもしれませんが、Windowsを利用したTabletPCのほとんどがタブレットとして使用する時には液晶の向きを読みかえる作りになっているのですが、XOの方法だと、そもそも読み変えなくてもいいんですね。液晶の視野角を考えるとなるほどなぁ、って感じです。

静電容量式のパッドが3つついています。今のところ反応するのは真ん中の一つだけ。反応自体は悪くないのですが、デバイスドライバのできは今一つ(パッド上の相対座標をきちんととりきれないっぽいので、一度指をはなすと大変な目に合う)です。ただ、「キーボードの手前のパームレスト」にあるので、タブレットとしてキーボードをたたんだときには使えません。あと、中央のパッドはともかく、左右のパッドはキーボードを使う時には邪魔っぽさそうですね。
「たぶん、手書き文字認識で入力させるために3つも入力ペインがある」という予想でしたが、静電容量式だと導電体のスタイラスが必要でしょうし、かといって、指ではパッドの面積に対して指の接触面の面積と、そのばらつきが大きすぎるでしょうし、なにより、屋外でなおかつ湿度の高いところで使うのは無理があるような気がします。
まぁ、感圧式パッドだとメインテナンスフリーにできないとか理由はあるのかもしれませんが……。

  • キーボード

懐かしいです。SORD M5(SC-3000,ぴゅう太,JR-100)風の樹脂製キーボードみたいな感じですね。ゴムの無垢ではなく、中空のキーボードなので、さらにふにゃふにゃですが。
樹脂の素材にもよりますが、すぐに可動部分は疲労によって断裂しちゃいそうです。
キートップも印刷のようなので、しばらく使っているとのっぺらぼうになりそうです。……けど、使っている当人からすればあんまり実用上問題ないかも。
キータッチ自体は悪くはないですが(良くもない(^^;))、それよりも、キーボード手前にかなり高い段差があるので、スペースバーをたたくとすごく痛いです。せめてあそこを直してもらえれば常用してもいいかなぁ、って気はするんですけど……。
そうそう。CtrlキーはAの隣でした。うん、そうじゃなくちゃね。

  • ディスプレイ

かなりきれいです。発色性もスペックを考えると悪くありません。バックライトを暗くするという話から聞いていたカラーモードの視認性の悪さもほぼなく、見かけの解像度の高さも相まって十分実用レベルです。
むしろ、モノクロモードがほとんど屋内では見えないのがちょっと残念でした。あ、いや、ディスプレイが残念なのではなくて、見せていただいた部屋が暗すぎたな、と。

  • CPU

ものすごく遅いです。わかってはいましたが。GeodeGX自体は触ったのは初めてですが、MediaGXやその前の6x86のクロックあたりの性能を考えると、まぁ、想像はつきます。
でも、すくなくともW-ZERO3よりは速いと思います(CPUパワーだけなら勝っていそうだったんですけど、メモリの帯域幅が大分違うっぽいです。と、abeeさんに指摘されました)。
たとえば、アプリケーションの起動に結構な時間がかかります。ファイルシステムFlash上にあるので読み込みだけなら物理駆動メディアよりも速いだろうにもかかわらず。……って、ヘッドシークはともかく、バースト読み込みでは今時のディスクの方がCompactFlashよりもスループットあるのかもしれませんね。
重い重い言う割には、ほとんどのアプリで文字にアンチエイリアシングがかかっていたり、再描画の最適化が甘かったり(これはアプリ側の作りのせいかも)、実用するにはもうちょっと乗り越えなくてはならない部分がありそうです。
まぁ、CPUパワーの割に解像度が高すぎるのが問題の根源のような気もしますが、書籍の代わりに使うという用途の関係上、これはどうにもならないだろうしなぁ。アプリケーションによっては640x480の画面モードを一時的に使うとか、細工のしようがあるのかな? Xサーバーがどんなふうになっているのか判ってないんだけど。

USBがかなりぜいたくです。こっそりSDカードスロットもついています。キートップを照らすランプもついています。
おもしろいのが、撮像素子とマイクとステレオスピーカーがついていること。メッシュネットワークのものすごい狭い帯域幅を使って遠隔授業をやるのは難しそうですが、隣の家とこっそり会話することぐらいは出来そうです。
今の日本や韓国、台湾などのような「ケータイ漬けの若者」が電話もあまり使えないようなど田舎に大量発生する……と、結果としてITリテラシー教育になるなぁ、とかあほなこと考えてみたりして(^^;)。

  • メモリ

かなりかつかつなんだろうな、という感触があります。アプリケーションを同時に立ち上げちゃまずそうな感じというか。いや、感覚的に。
それでも、B1マシン自体は256MByteのDRAMを持っているので、次の試作版B2に比べればましなんでしょうけど。
書き込み回数限界を考えるとファイルシステムスワップを持つわけにも行きませんので、メモリを食わないように様々なアプリを細工するというのが本道でしょうね。
そういう意味では、Pythonの実行時メモリってどれくらい食うんだろ? スクリプト言語だし、コードの量ではCよりも少なく済むでしょうけど、実行時メモリは食いそうな感じが。
ディスクイメージをもらってきてQEMUかなにかで試すのがいいんだろうな。

通常、シェルに落ちることは出来ないはずですが、なんでも、秘密の隠しコマンドでシェルが見えるようになるとか。テキストエディタとしてvimが入っているのなら、Pythonハッカーとしてシステムをごりごり改造できそうですね。
でも、やっぱりgccを入れるのはディスク的にもワーキングメモリ的にも難しそうです。昔、RAM8MByteのsun3/60でgccを二日がかりでコンパイルしたときに比べればスペック的にはまだましでしょうけど、今時のgccはソースが肥大してるしなぁ。よしんばコンパイルは通ってもGUIまでライブラリを全部持つことは出来なさそうです。shared objectをうまく使えば何とかなるのかなあ?
やっぱり、ハッカー養成のためには数人でファイル共有ですな。分散hashとstackable filesystemを組み合わせて、P2P分散ファイルシステムを作るとか。Linux自体のソースコードX11のソースも持てばOS自体のリビルドも本体だけでできるでしょうし。
eToys(Squeak)はSystemBrowserも入っているようですので、システムプログラミングは可能ですね。ソースはさすがに持ってないでしょうけど(少なくともOLPC eToysの配布用イメージには含まれてません)、ま、ソースの一つや二つなくてもSmalltalkは困りませんし。
あと、シェルがあるってことは、一応シェルスクリプトも動くそうです。
C言語がだめでも、プログラムを作って動かす手段が組み込みで3つもあるってのはすばらしいですね。WebブラウザJavaScriptに対応してればそれも使えますね。


ともあれ、これが実際に使われているところを想像するだけでもかなり楽しいです。
無理やりできそうな部分を見つけて開発に参加したいぐらいです。
できそうな部分……ゲームを作ると教育的にはよくなさげだし、マニュアル書きぐらい(^^;)?<英語すらもろくすっぽ使えないくせに何を書く気だ(^^;)