バンピートロット(asin:B0007XQ46Y)(一応)了

エンディング曲までは行きました。

「なんでトロット楽団の曲は都合よくお話に合わせて進むんだろう?」と思っていましたが、逆ですね。「コニーが経験した事を元にリアルタイムに作詞している」のが真相なんですな。なるほど。そう考えると途中途中に入る強制ライブシーンの意味が結構違って見えますね。おもしろい。
クライマックスで「アーマードコア」から急に「ムラクモ」になるのは結構びっくりしましたが、クライマックスらしい演出ですね。何よりも、その最中にずっと流れて行く背景を見るだけで、「あ、これはあそこだな」と、何というか土地勘のようなものが生まれていることに気づくのもおもしろいですね。
本筋自体がそんなにすごく長い訳ではないのですが、絶妙にもっと遊びたい気分にさせるボリューム感もおもしろいです。


他にもおもしろいと思った部分を列挙すると、

  • プレイヤーの取りうる選択肢と、選択に対する反応が山のようにある。
    • しょっぱなのあいさつの態度や、イベントのたびに起こる選択肢が微妙にお話に影響を及ぼすとか。ロールプレイとして秀逸。
  • トライ&エラーを強要しつつ、(進めるだけなら)割合ゆるめのゲームバランス
    • RPGファンからは、「経験値を上げて最強装備にすることができない」と文句を言われてたけど、そういう人はこのゲームに手を出すべきじゃないですねぇ。ゲームって所詮嗜好品だし。
  • 常に、大小合わせて複数示される目標
    • なのに、本筋ですらも「大」ではない(^^;)。本筋のストーリーが製作者の最も言いたいことではなく、「世界を感じさせるための分かりやすいガイドライン」に止まっている当たりがこのゲームの特殊性を示してます。
  • いつ、どこに行っても美しい世界
    • たまたま夜にウミネコ海岸に行った時に思わずため息が出ました。シナリオの一環だったんだけど、あれが夜だったのはたまたま。演出で美しく見せることはできても、いつでも美しいってのはさすが。
  • とにかく世界へのインタラクションが豊富
    • サブイベントでやたらともらえる「株券」や、交易による価格の変化や、町の中での人員配置の変更(ハヤブサ絨毯工場の一件は白眉!)など。不動産を手にいれてから、世界への関わり方が微妙に変化するのも素敵。
    • あと、水と足跡! 特に水なんか単なるセルオートマトンでたいしたことやってる訳じゃないのに、世界の表現として効果絶大。足跡と足音も。


全体として「シェンムー」というか、「どうぶつの森」というか、世界まったり系の作りで、表現すべき世界として、ロボットのいるノスタルジックな世界という一風変わった(でも心地よい)ものをもって来たという感じです。
ささやかなラブストーリーも、考えさせられる部分も、ちょっとドラマチックな何かもあるにはありますけど、やっぱり枝葉。怒涛のドラマを望む人には食い足りないでしょうけど、それを中心にしたくないという意志は痛いほど感じるのでそこを望んでもなぁ。


不満がない訳ではないです。
途中何度もフリーズしたりイベント途中ではまったり(イベント中もキャラどうしの当たり判定による制限を受けるんですね。明らかにやばい仕様だと思うんだけどなぁ)、よっぽど作るのが大変だったんだろうなぁ、ということを感じさせる部分も数多くあります。
何よりも、キーになっているはずの演奏シーンのゲーム側からのインフォメーションがあまりに足りないので、ちっとも気持ち良くないのはあまりに致命的です。
でも、そんな欠点ですらもささいだと思えるぐらいの心地よさにあふれた作品でした。

・・何でこれが売れてないんだよー(;_;)。